共同声明 - 2023年9⽉26⽇
共同声明
映像業界における
性加害・性暴力
をなくすために
私たちは、映像業界における性加害・性暴力の被害者とその支援者です。
昨年4月に共同声明を出してから約1年半ほどが経ちました。 その間、映像業界のみならず、多くの業界から性加害・性暴力に反対する声があがっていることや、刑法改正がなされたこと、また社会がこれらの問題に以前に比べて無関心ではなくなってきたように感じられること自体は喜ばしいことだと思っております。
一方で、今現在、被害者が救済されていない現状に疲弊感と絶望感を感じてもいます。 これまでの法ではどうにもならないことを突きつけられ、メディア報道において忖度され、個人で動けばスラップ訴訟をされる懸念から、限界に突き当たっているとも感じております。 そんななか、加害者とされる人物が、起きた被害や被害当事者に対して、しかるべき謝罪や適切な対応をしないまま、さまざまな方法で復帰する動きを見せていること、またそれに加担する人たちが少なからずいることに憤りを感じるとともに、大変傷ついております。
また「キャンセルカルチャー」という言葉を安易に使うことは、救済されていない現状を生きている被害当事者たちにとって脅威ともなり得ます。 加害者の言い分のみを鵜呑みにして、被害を矮小化することは二次加害だと考えます。まずは過去の検証をきちんとした上で、未来へ向けての取り組みをしてほしいと強く望みます。 私たちは、加害者のみの言葉を鵜呑みにし、擁護するあらゆる言動に抗議いたします。
〈有志〉
牛丸亮(俳優、映画監督)
加賀賢三(映画監督)
川上拓也 (録⾳)
東海林毅 (映画監督)
睡蓮みどり(俳優、⽂筆家)
羽賀香織(美術)
早坂伸(映画カメラマン)
港岳彦(脚本家)
共同声明 - 2022年4⽉27⽇
共同声明
映像業界における
性加害・性暴力
をなくすために
私たちは、映像業界における性加害・性暴力の被害者とその支援者です。
声をあげることは容易ではなく、これまで私たちはそれぞれの不安と葛藤の中にいました。ですが、目的地を同じくする方々と連帯できるのなら、一歩を踏み出せるかもしれない。そんな思いを込めて、私たちはこの声明を発表します。
2022年3月10日の週刊誌報道で映画監督による性加害・性暴力が明るみになり、以降、複数の俳優、上記とは別の映画監督、映画プロデューサーなどによる性加害・性暴力の告発が立て続けに報道されました。その他にも、各媒体、SNSなどで映像業界に存在する多くの性加害・性暴力の被害を訴える声があがり続けています。
映像業界における性加害・性暴力は、地位・関係性を利用したエントラップメント型が多く聞かれます。人事権を持った監督やプロデューサーが、キャスティングを条件に俳優に性行為を迫るなどといった行為がその一例です。強要される側は、断ったり拒んだりすれば「クビにされるのではないか」「今後仕事を回されなくなるのではないか」「現場の和を乱すのではないか」といった不安を覚え、沈黙を強いられます。また、こうした事例を指して「枕営業」などという加害者に都合のいい言葉を使う光景も繰り返されてきました。明白な加害・被害にもかかわらず、あたかも被害者が自ら望んでしたかのように第三者が言うことは侮辱であり、問題をひどく矮小化することにも繋がります。
煽情的な用語や見出しを用いてSNSに書き込んだり報道したりすることも、二次加害を生み出す要因となっています。被害者を特定しようとしたり、被害当事者に加害した人物が誰なのかを問いただしたりするような行為も、被害者を苦しめる二次加害のひとつです。
制作スタッフにおける性加害・性暴力の事例もあとをたちません。上下関係や会社間のパワーバランス、ジェンダーギャップなどを背景に、加害側の横暴を許す制作体制がパワハラを生み出し、その延長線上に性加害・性暴力が起こります。そのため被害を訴えても、取り合ってもらえず、封じ込められて泣き寝入りするひとが多く存在します。それらの根底には、映像制作の過酷な労働条件・労働環境などの問題が横たわっています。極端な過労と睡眠不足によって、気力も体力も失われているところに加害者がつけ込むなど、劣悪な労働環境が性加害・性暴力の温床ともなっているのです。
性加害・性暴力による被害当事者には、心的外傷によるストレスに現在進行形で苦しめられているひとも少なくありません。加害者や第三者にとっては過去の出来事でも、被害者にとっては消し去ることのできない、継続した苦痛です。忘れてしまいたい過去を思い出し、他者に伝える行為には大きなエネルギーを必要とし、被害者をさらに追い詰めます。
被害者の中には、長い間、自分の身に起こったことが性加害・性暴力であったと認識できないまま過ごしてきたひともいます。自分のせいではないのに自分のせいだと責め続けてきたひともいます。誰かに相談しても、口外しないよう諭されたり、法的にどうにもならないから諦めるよう言われたり、善意のアドバイスによって黙らされたり、悔しい思いをしてきたひともたくさんいます。「自分の経験は他のひとに比べたら大したことないのでは」と、口を閉ざしてしまうこともあるかもしれません。声をあげたくても様々な理由によって泣き寝入りを強いられているひとたちが、多く存在しているのです。それぞれのケースを比較して被害を矮小化することはできません。被害当事者の心は、医療の診断基準や司法判断をまたずとも、あるいはそれらの判断いかんにかかわらず、傷ついていることに変わりはありません。
私たち業界関係者は、こうした被害・加害の数々を知りながら「芸能界ではよくあること」と感覚を麻痺させ、ハラスメントに加担してはいなかったでしょうか。「黙認」や「見て見ぬふり」といった形で、加害を助長してはいなかったでしょうか。加害が明らかになった後でも、加害者がその立場を失うことなく起用され続けることは、加害を擁護することに繋がり、その二次加害によって被害者の回復は妨げられます。加害者と利害を共有することの責任についても、無自覚ではなかったでしょうか。 私たちは、被害を受けるひと、被害を受けて泣き寝入りするひとを、これ以上、ひとりたりとも増やしたくありません。
性加害・性暴力・二次加害が、当事者だけの問題ではないと広く認識されることを私たちは望んでいます。現在の日本では、性暴力の加害者が罰せられにくい法制度であることも指摘されています。多くの被害がいまだに「ないもの」とされているのです。映像業界における性加害・性暴力を可視化し、撲滅するための実態調査に加え、しかるべき第三者機関の設置が必要であると考えます。
私たちは、今起きている問題だけではなく、過去に起きた問題についても相談ができ、本音で話し合える環境づくりを目指していきたいと考えています。お互いが尊重し合える関係性のもと、問題が起きない環境を築き、誰もが安心して働くことのできる日が一日でも早く訪れるよう――みなさんと共に連帯できることを心から願っています。
石川優実(俳優、アクティビスト)
牛丸亮(俳優、映画監督)
呉美保(映画監督)
加賀賢三(映画監督)
川上拓也(録音)
桜木梨奈(俳優)
東海林毅(映画監督)
睡蓮みどり(俳優、文筆家)
千尋(俳優)
羽賀香織(美術)
早坂伸(映画カメラマン)
港岳彦(脚本家)
活動実績 / メディア掲載情報
2022/04/27 会の発足と共同声明の発表
2022/05/02 TBS News23出演
2022/06/11 女性自身 記事掲載
女優だけでなくスタッフも…映像業界の"性加害がはらむ複雑さ「声上げにくい」
2022/06/20
キネマ旬報 2022年7月上旬号 記事掲載
映画界を変えるために、声をあげる 対談 睡蓮みどり×呉美保
2022/07/04
NEWS PICKS 記事掲載
性加害・ハラスメントを引き起こす4つの特徴
2022/07/17
朝日新聞(朝刊) 記事掲載
性暴力告発 映画界からの波
2023/09/13
日本共産党国会議員団プロジェクトチームによるヒアリングに参加
2023/09/26
有志による共同声明の発表
2023/12/07
FCCJ記者会見 [会見動画]
・ ハフポスト 記事掲載
・ 映画ナタリー 記事掲載
・ 朝日新聞デジタル 記事掲載
・ Yahoo!ニュース 記事掲載
2024/01/11
Arc Times 出演 [出演動画]
2024/01/13
水道橋博士の異常な対談 出演 [出演動画]
2024/01/24
社民党によるヒアリングに参加
2024/01/27
図書新聞 記事掲載
「映像業界における性加害問題に向き合うために私たちが考えるべきこと」
2024/01/29
文化通信 2024年2月号 記事掲載
映画業界の性加害問題に見る課題 「被害者の声を聴けよ」
賛同者
秋元剛(俳優)
石田夕理(俳優)
上埜すみれ (俳優)
演劇・映画・芸能界のセクハラ・パワハラをなくす会
小野晃太朗 (劇作家・ドラマトゥルク)
金子雅和(映画監督)
川口とも (俳優)
北村味加(俳優)
熊谷睦子(ムービー・アクト・プロジェクト)
倉田健次(映画監督・脚本家)
こだかさり(監督)
児玉美月(映画ライター)
小濱香織(リトミック講師)
小原徳子(俳優)
斎藤健二(俳優)
佐々木誠(映像ディレクター/映画監督)
下社敦郎(映画監督、映画音楽家)
一般社団法人Japanese Film Project
白石和彌(映画監督)
宗賢次郎(照明技師)
高橋秋人(俳優・メイクアップアーティスト)
田中円(劇作家・演出家・俳優)
知乃(俳優)
塚本晋也(映画監督)
トム・メス (日本映画研究者)
トヨザワトモコ(俳優)
TremendousCircus(劇団)
永山正史(脚本・監督)
西川美和(映画監督)
西山ももこ(インティマシーコーディネーター)
日本版CNC設立を求める会(映画監督有志の会)
住本尚子(映画監督)
秦岳志(映画編集)
林あゆみ
原田耕治(プロデューサー)
広瀬奈々子 (映画監督)
舩橋淳(映画監督)
古澤健(映画監督)
細川唯(俳優)
宮澤もえみ
望月葉子(俳優)
森田真帆(映画ライター・別府ブルーバード劇場館主補佐)
安川有果(映画監督)
ヤン ヨンヒ(映画監督)
吉田孝行 (映像作家)
葭本未織(劇作家)
REBEL FILM
小川智子(脚本家)
敬称略。お名前は50音順
(2023年12月06日現在)
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初出掲載:2022年4月27日
最終更新:2022年4月27日
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